典型
我ながら綺麗に固められた、アニメとかでよく見るハート型のチョコ。推し作家さん達に贈ってきた差し入れの経験を使って完璧に包んだラッピング。
いつもは尊いウマ娘ちゃん達にデジたん特製神棚からバーチャルプレゼントですが、今年のあたしには差し上げる相手がいます。
「タキオンさん、よろしければこれをぉ……」
寮の部屋で、あたしはタキオンさんにそっと差し出します。
「おや? これは君が作ってくれたのかい?」
「はい! お口に合えば良いのですが〜……」
チョコの味に自信が無いわけでは無いのですが、憧れのタキオンさんに贈るものとなると話は別でした。
「フフ。ずいぶん丁寧に用意してくれたものだね。ありがとう」
タキオンさんは興味深そうに包みを観察したあと、にっこり笑いながらあたしのチョコを受け取ってくれました。
「いえ! タキオンさんとなると他のウマ娘ちゃんからも沢山チョコを貰っているでしょうし、あたしのチョコは後回しで全然〜……」
「いいや、そんな訳にはいかないね」
タキオンさんは静かに首を振ります。
「誰でもない君から貰ったチョコなんだ。丁重に頂くとしよう」
ほわぁ〜〜……!!
なんて尊い言葉を言ってくださるのでしょう。やっぱりタキオンさんがあたしなんかと付き合ってくれるのは夢なんじゃ……?
あたしがしっかり尊死していると、その様子を見ていたタキオンさんが何かを思い付いたように言いました。
「なぁデジタル君、私に食べさせてくれないか?」
「エッ!?!?!?」
タキオンさんの超光速ばりの飛躍に、流石のあたしも着いていけませんでした。
「えっ……え、今何を……??」
「ハハ。そうだなぁ、君がチョコを唇で持って、そのまま私に食べさせてくれると嬉しいねぇ」
「なっ……!?!?」
これはあたしは試されているのでしょうか? タキオンさんは「ンー?」と言わんばかりの表情でこちらを見詰めてきます。意識的なのか無意識なのか、上目遣いの目線にするためタキオンさんが頭を揺らすと、微かにチャリ、と髪飾りの音が鳴りました。
こんな状況でもタキオンさんのお顔に惹かれているデジたんが、嗚呼憎い……!!
「なーあー、早くしたまえよー。チョコが溶けてしまうだろう?」
なんだかタキオンさんの機嫌が悪くなってきました。
マズイ、これは非常にマズイ――!!
「わ、わかりました! では不束かながらこのアグネスデジタル、タキオンさんにチョコを差し上げたいと思います……!!」
タキオンさんが嬉しそうに頷きました。
あたしは覚悟を決めて自分が作ったチョコを一口サイズに割り、唇でそっと挟みます。そのままあたしは自分の唇をタキオンさんの口元まで持っていきました。気持ち、唇を突き出します。
緊張できゅっと目を瞑ります。
「デジタル君」
タキオンさんの声がした瞬間、自分の顎が掴まれる感覚がありました。そして一瞬、タキオンさんの顔の気配を感じます。
「遠いよ」
――声が近い。タキオンさんに顎を掴まれた、と認識した瞬間には唇のチョコは消えました。
恐る恐る目を開けると、タキオンさんは嬉しそうにチョコを咀嚼しています。
「ン! 美味しいねぇ。デジタル君に食べさせてもらったからかな」
そう言ってタキオンさんは悪戯っぽい目で笑ってきます。
「はぅ……あぁ…………」
この人には絶対敵わない。あたしはそう思いながらその場にへたり込んでしまいました。
そしてあたしは本人が同じ部屋にいるのに、今日の出来事を寝るまで何度も何度も反芻し続けるのでした……。
いつもは尊いウマ娘ちゃん達にデジたん特製神棚からバーチャルプレゼントですが、今年のあたしには差し上げる相手がいます。
「タキオンさん、よろしければこれをぉ……」
寮の部屋で、あたしはタキオンさんにそっと差し出します。
「おや? これは君が作ってくれたのかい?」
「はい! お口に合えば良いのですが〜……」
チョコの味に自信が無いわけでは無いのですが、憧れのタキオンさんに贈るものとなると話は別でした。
「フフ。ずいぶん丁寧に用意してくれたものだね。ありがとう」
タキオンさんは興味深そうに包みを観察したあと、にっこり笑いながらあたしのチョコを受け取ってくれました。
「いえ! タキオンさんとなると他のウマ娘ちゃんからも沢山チョコを貰っているでしょうし、あたしのチョコは後回しで全然〜……」
「いいや、そんな訳にはいかないね」
タキオンさんは静かに首を振ります。
「誰でもない君から貰ったチョコなんだ。丁重に頂くとしよう」
ほわぁ〜〜……!!
なんて尊い言葉を言ってくださるのでしょう。やっぱりタキオンさんがあたしなんかと付き合ってくれるのは夢なんじゃ……?
あたしがしっかり尊死していると、その様子を見ていたタキオンさんが何かを思い付いたように言いました。
「なぁデジタル君、私に食べさせてくれないか?」
「エッ!?!?!?」
タキオンさんの超光速ばりの飛躍に、流石のあたしも着いていけませんでした。
「えっ……え、今何を……??」
「ハハ。そうだなぁ、君がチョコを唇で持って、そのまま私に食べさせてくれると嬉しいねぇ」
「なっ……!?!?」
これはあたしは試されているのでしょうか? タキオンさんは「ンー?」と言わんばかりの表情でこちらを見詰めてきます。意識的なのか無意識なのか、上目遣いの目線にするためタキオンさんが頭を揺らすと、微かにチャリ、と髪飾りの音が鳴りました。
こんな状況でもタキオンさんのお顔に惹かれているデジたんが、嗚呼憎い……!!
「なーあー、早くしたまえよー。チョコが溶けてしまうだろう?」
なんだかタキオンさんの機嫌が悪くなってきました。
マズイ、これは非常にマズイ――!!
「わ、わかりました! では不束かながらこのアグネスデジタル、タキオンさんにチョコを差し上げたいと思います……!!」
タキオンさんが嬉しそうに頷きました。
あたしは覚悟を決めて自分が作ったチョコを一口サイズに割り、唇でそっと挟みます。そのままあたしは自分の唇をタキオンさんの口元まで持っていきました。気持ち、唇を突き出します。
緊張できゅっと目を瞑ります。
「デジタル君」
タキオンさんの声がした瞬間、自分の顎が掴まれる感覚がありました。そして一瞬、タキオンさんの顔の気配を感じます。
「遠いよ」
――声が近い。タキオンさんに顎を掴まれた、と認識した瞬間には唇のチョコは消えました。
恐る恐る目を開けると、タキオンさんは嬉しそうにチョコを咀嚼しています。
「ン! 美味しいねぇ。デジタル君に食べさせてもらったからかな」
そう言ってタキオンさんは悪戯っぽい目で笑ってきます。
「はぅ……あぁ…………」
この人には絶対敵わない。あたしはそう思いながらその場にへたり込んでしまいました。
そしてあたしは本人が同じ部屋にいるのに、今日の出来事を寝るまで何度も何度も反芻し続けるのでした……。