祝されよ、我々の神
その時まで私は深い眠りに落ちていた。
私しか乗っていないベッドに更に重力が掛かるのを感じる。
何者かの右足、左足が順番に乗せられ、ベッドが静かな悲鳴をあげる。
私はその様子を感じ取って僅かに覚醒したが、その時まで正に夢を見ていた私は、これも夢の中の感触であると錯覚したのだ。
目の前にはいつの日か学園で見た三女神様が私の前に立たれていた。
その見た目はいつも見る銅像ではなく、確かに私たちと同じ生身のお姿であった。銅像のお姿ももちろんだが、生身のウマ娘として現れた三女神様は、格別の美しさを纏っていた。
私がその輝きに目を奪われていると、女神様達は突然私を押し倒し、身体の上に乗ってこられた。生々しい重みが私を襲う。
女神様の柔らかな指先が私の頬に触れ、艶やかな尊顔が目の前に広がった。私の身体はあっという間に三柱の女神様に囲まれてしまったのだ。
「女神様…!」
私は歓びを覚えつつも身体に罪悪感が広まるのを感じた。私めのようなウマ娘が、女神様達の御尊顔をこんな近くで感じてもよいのでしょうか……!
ああ、でも、女神様が目の前に現れてくださるだけではなく、このように私のすぐ近くまで来てくださるとは……!私は女神様のお顔に一瞬で魅了されてしまった。
私が恍惚としていると、女神様の絹のような尻尾が私の脚に触れ、くすぐったさが昇る。思わず顔を歪めてしまった私を見て、女神様は妖しい笑顔を浮かべたまま、私の身体に指を這わせられた。
はあ、と溜め息を洩らしてしまう私を弄ぶかのように女神様は更に私の身体を触れていく。私の脚、腰、腕、頬をひとしきり優しく撫でたあと、女神様は視線を私に合わせたまま、私の唇に人差し指を置いた。
「それはだめです、女神様――」
私が思わず強く目を瞑ると、口の中に徐に何か液体が入ってくるのを感じた。
温かく、少し粘り気がある。甘い味がして美味しい。舌がもっとと求めているようだ。
あたしは口の中の液体を飲み込む。ぐちゅ、と音を鳴らし液体が食道を通ってゆき、身体が上気するのを感じる。
だが少し喉に引っかかるような感触があり、不快だ。咽そうになる。あたしは軽く咳払いをして喉の絡みを追いやり、目を開けた。
そこには再び女神様の尊顔――ではなく、タキオンさんの顔がありました。
「おや?」
いつもの気だるそうな声が、目の前の口から発されます。
「ふぅン、流石に薬品を飲まされれば目を覚ましてしまうか。しかし飲み込んではくれたようだね」
……え?
あたしは状況がうまく飲み込めませんでした。
あれ? あたしは女神様に身体を……いや、これ以上はやめておきましょう。というか、乗っている人が変わっただけで今のタキオンさんが私の上に乗っている状況も相当ヤバくないですか……!?
少し落ち着いて辺りを見回すと、そこは普通にあたし達二人の寮のお部屋でした。
部屋は暗いものの、タキオンさんのデスクライトにだけ仄かな明かりがついていました。明かりを受けて試験管の中の薬品がキラキラと輝いています。
また一人で実験でもされていたのでしょうか。
おや、実験……?
「ハハハ!まだ自分が何をされたのか分からないといった様子だね。デジタル君、君は私の実験台になってくれたのさ」
そう言うとタキオンさんは私の上から降りてくれた。タキオンさんの尻尾の感触がするりと脚をかすめる。
どうやらあたしの上に乗っていたのはタキオンさんだったらしい。
「えぇっ、じゃあさっきまでの感触は夢じゃなくて、というか映像は女神様の夢でしたけど……タキオンさんが実際に、デジたんの体に触れてたということですかぁ〜!??!」
あたしは大絶叫したあと、今が夜中(と思われる)ことを思い出して口を手で覆いました。
「お見事!」
そんなことは気にせずタキオンさんはパチパチ、とややゆっくり目の拍手をしました。デスクライトが発する仄かな光の中、タキオンさんはニコニコしているように見えました。
「いやぁ〜、助かったよ、デジタル君。レースの後ここに帰ってきて、私からのジュースを何の疑いもなくありがたいありがたいと飲み干してくれたんだから。」
ハッ…!!確かに。タキオンさんのおっしゃる通りです。
タキオンさんがあたしに差し入れをくださるなんて、恐れ多すぎて遠慮してたのですが、疲労回復効果があるからと勧められて飲んだのでした。
「あのジュースには、催眠剤とまでは行かなくても気持ち良く眠れる薬が入っていたのさ。君が深く眠っている間に君の身体を失礼して観察させてもらってから、違う薬を試してもらった…というワケさ」
「なるほどぉ!」
って、デジたん2種類も薬飲まされてるー!?! いや、タキオンさんの研究に貢献できるなら喜んでお飲みしますが、デジたんの体は大丈夫なのでしょうか!?
あたしが自分の体の心配をしていると、視界がなんだかぼんやりと明るくなってきたことに気付きました。
「あら、日の出……?」
「おや、もうそんな時間かい?」
タキオンさんがカーテンの外をのぞき込んだあと、こちらを見て何かを解したような表情を浮かべました。
「実験は成功のようだよ、デジタル君」
タキオンさんはあたしの顔を見て、そう言いました。
私しか乗っていないベッドに更に重力が掛かるのを感じる。
何者かの右足、左足が順番に乗せられ、ベッドが静かな悲鳴をあげる。
私はその様子を感じ取って僅かに覚醒したが、その時まで正に夢を見ていた私は、これも夢の中の感触であると錯覚したのだ。
目の前にはいつの日か学園で見た三女神様が私の前に立たれていた。
その見た目はいつも見る銅像ではなく、確かに私たちと同じ生身のお姿であった。銅像のお姿ももちろんだが、生身のウマ娘として現れた三女神様は、格別の美しさを纏っていた。
私がその輝きに目を奪われていると、女神様達は突然私を押し倒し、身体の上に乗ってこられた。生々しい重みが私を襲う。
女神様の柔らかな指先が私の頬に触れ、艶やかな尊顔が目の前に広がった。私の身体はあっという間に三柱の女神様に囲まれてしまったのだ。
「女神様…!」
私は歓びを覚えつつも身体に罪悪感が広まるのを感じた。私めのようなウマ娘が、女神様達の御尊顔をこんな近くで感じてもよいのでしょうか……!
ああ、でも、女神様が目の前に現れてくださるだけではなく、このように私のすぐ近くまで来てくださるとは……!私は女神様のお顔に一瞬で魅了されてしまった。
私が恍惚としていると、女神様の絹のような尻尾が私の脚に触れ、くすぐったさが昇る。思わず顔を歪めてしまった私を見て、女神様は妖しい笑顔を浮かべたまま、私の身体に指を這わせられた。
はあ、と溜め息を洩らしてしまう私を弄ぶかのように女神様は更に私の身体を触れていく。私の脚、腰、腕、頬をひとしきり優しく撫でたあと、女神様は視線を私に合わせたまま、私の唇に人差し指を置いた。
「それはだめです、女神様――」
私が思わず強く目を瞑ると、口の中に徐に何か液体が入ってくるのを感じた。
温かく、少し粘り気がある。甘い味がして美味しい。舌がもっとと求めているようだ。
あたしは口の中の液体を飲み込む。ぐちゅ、と音を鳴らし液体が食道を通ってゆき、身体が上気するのを感じる。
だが少し喉に引っかかるような感触があり、不快だ。咽そうになる。あたしは軽く咳払いをして喉の絡みを追いやり、目を開けた。
そこには再び女神様の尊顔――ではなく、タキオンさんの顔がありました。
「おや?」
いつもの気だるそうな声が、目の前の口から発されます。
「ふぅン、流石に薬品を飲まされれば目を覚ましてしまうか。しかし飲み込んではくれたようだね」
……え?
あたしは状況がうまく飲み込めませんでした。
あれ? あたしは女神様に身体を……いや、これ以上はやめておきましょう。というか、乗っている人が変わっただけで今のタキオンさんが私の上に乗っている状況も相当ヤバくないですか……!?
少し落ち着いて辺りを見回すと、そこは普通にあたし達二人の寮のお部屋でした。
部屋は暗いものの、タキオンさんのデスクライトにだけ仄かな明かりがついていました。明かりを受けて試験管の中の薬品がキラキラと輝いています。
また一人で実験でもされていたのでしょうか。
おや、実験……?
「ハハハ!まだ自分が何をされたのか分からないといった様子だね。デジタル君、君は私の実験台になってくれたのさ」
そう言うとタキオンさんは私の上から降りてくれた。タキオンさんの尻尾の感触がするりと脚をかすめる。
どうやらあたしの上に乗っていたのはタキオンさんだったらしい。
「えぇっ、じゃあさっきまでの感触は夢じゃなくて、というか映像は女神様の夢でしたけど……タキオンさんが実際に、デジたんの体に触れてたということですかぁ〜!??!」
あたしは大絶叫したあと、今が夜中(と思われる)ことを思い出して口を手で覆いました。
「お見事!」
そんなことは気にせずタキオンさんはパチパチ、とややゆっくり目の拍手をしました。デスクライトが発する仄かな光の中、タキオンさんはニコニコしているように見えました。
「いやぁ〜、助かったよ、デジタル君。レースの後ここに帰ってきて、私からのジュースを何の疑いもなくありがたいありがたいと飲み干してくれたんだから。」
ハッ…!!確かに。タキオンさんのおっしゃる通りです。
タキオンさんがあたしに差し入れをくださるなんて、恐れ多すぎて遠慮してたのですが、疲労回復効果があるからと勧められて飲んだのでした。
「あのジュースには、催眠剤とまでは行かなくても気持ち良く眠れる薬が入っていたのさ。君が深く眠っている間に君の身体を失礼して観察させてもらってから、違う薬を試してもらった…というワケさ」
「なるほどぉ!」
って、デジたん2種類も薬飲まされてるー!?! いや、タキオンさんの研究に貢献できるなら喜んでお飲みしますが、デジたんの体は大丈夫なのでしょうか!?
あたしが自分の体の心配をしていると、視界がなんだかぼんやりと明るくなってきたことに気付きました。
「あら、日の出……?」
「おや、もうそんな時間かい?」
タキオンさんがカーテンの外をのぞき込んだあと、こちらを見て何かを解したような表情を浮かべました。
「実験は成功のようだよ、デジタル君」
タキオンさんはあたしの顔を見て、そう言いました。